自分の箏(琴)爪を作る

どこで買うか

箏爪は和楽器屋さんで売っています。
最近では店舗以外にネット販売をしている和楽器屋さんもあります。
同じ生田流でも流派によって使う爪のサイズが違うので、買う前に担当の先生に確認しましょう。

 

箏爪の素材は象牙またはプラスチックです。
絶滅危惧種である象の牙を使うのは気が引けますが、楽器との相性や鳴りは象牙の方が圧倒的に良いです。
日本国内で使う場合は象牙の爪をお勧めします。

 

箏爪を購入したらやること

購入したばかりの爪は、大体は角が鋭くとがったままです。
箏爪と輪
このままだと弦が傷つきやすく、また爪の先端が欠けやすいです。
新しいお爪はネイルケア用のヤスリで予め角を落としておくことをお薦めします。
箏爪完成品
こちらは完成品。あまり違いがはっきりしませんが、この程度でもやるとやらないとでは大きな違いです。

爪輪のサイズを選ぶときの目安

輪のサイズ感は好みですが、まずは箏爪を指にはめたときに輪の下のラインが、ちょうど爪の下のラインに来るぐらいが無難です。
あまり深く入ると、小回りは利くものの音色が鈍くなりスクイ爪がしにくくなります。
逆に浅いと、小回りが利かず弾きづらく爪も抜けやすくなります。
標準的なサイズに慣れたら、自分が弾きやすく音も良いサイズを研究してみると良いでしょう。
箏爪をはめたところ
指の爪の先端と箏爪の先端との間の幅が狭いとスクイ爪がしにくいです。

 

箏爪を作る

作成のながれ

輪をカッターなどで開いて爪を差し込み、ボンドで固定します。
自分でもできるし、お琴屋さんで作ってくれるところもあります。

この動画を作ったときは目が良かったのでカッターで開いていましたが、今は老眼で手元が見えず怖いのでピンセットを使っています。

 

爪を輪に差し込む角度

爪を輪に接着する際重要なのが、輪に差し込む角度です。
一般的には図の左のように、輪に対しなるべく爪が直角になるのが望ましいとされています。
箏爪をはめたところ
しかし私は、親指に関しては右の図のような角度で爪を付けています。

 

【理由】
親指が反る人は関節が柔らかく、圧力で動きやすいです。
圧力がかかると関節が押されてさらに反るので、
箏爪が絃に当たる→指が圧力で反る→絃をはじく
と言う具合に触ってから音が出るまでに時間がかかり、鈍い音になりがちです。

 

反り指の人が輪に対して垂直に挿した爪をはめると、指と爪の間に隙間が出来ます。
箏爪が絃に当たる→指が圧力で反る→箏爪が圧力で動く→弦をはじく
と、さらに一工程増え、ますます余韻のない音になります。

 

このため、爪を付ける際にはなるべく自分の親指にはめてボンドが乾くまでの間に、爪のラインが指の反る角度の延長線上に収まるように微調整しています。
具体的にはテーブルなどの堅いところの面を絃に見立て、自分が普段触っている角度で手を置くだけです。
福田優子箏(琴)教室|箏(琴)爪の角度
他の作業が出来なくなるのは不便ですが、弾く指にはめて乾かすのが結局自分の指にあった爪を作るコツだと思います。

 

爪の輪の補強(ガンガン弾く人向け)

近年爪の輪の品質が落ちて劣化があまりに速いので、最近は瞬間接着剤でコーティングしてます。
使ってエナメルがはがれたお爪です。
エナメルの剥がれた箏爪
これをお湯に入れて輪をはがし、残ったボンドをきれいに剥がします。

 

まず、普通の要領でお爪を作ります。
輪にボンドをつけて爪をはめ込んだ後そのまま放置する人がいますが、ボンドが乾いて体積が小さくなった時に爪と輪の間に隙間ができて固定されません。
洗濯バサミ等で爪を差し込んだ部分をしっかり押さえましょう。

 

爪が固定されたらコーティングを始めます。
用意するのはアロンアルフアです。私は黒い瞬間接着剤を仕上げ用に使っています。
セロテープで保護した箏爪
セロテープで爪に接着剤がつかないように保護し、輪に薄くアロンアルフアを塗ります。薄く塗る方が早く乾きます。
その際に活躍するのがデンタルフロスです。先端が平らになっているので塗り広げるのに便利です。
デンタルフロス
4,5回塗って乾かしを繰り返し、指で輪を押して十分な強度が出ていたら完成です。アロンアルフアは乾くと白化して白く粉が吹いたようになるので、気になる方は最後に黒い瞬間接着剤を塗るときれいな黒い色に仕上がります。